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2020年5月24日日曜日

免疫の男女差、男性ホルモンの分泌が多いので若いことがデメリットにもなるんです

感染拡大から考える免疫の男女差

免疫についての解説一覧

 男性と女性を比べると免疫は女性のほうが強い、ということは以前から言われてきました。それを裏付ける証拠の一つとして、がんの感染者数と死亡者数の比較がされています。感染者では男性は55%、女性は45%ほど多くなっていますが、死亡数では男性は58%、女性は42%と、やはり男性のほうが多くなっています。これに対して、新型コロナウイルスの男女差を見ると、その違いは極端で、男性は女性の3倍ほども感染率が高くなっています。感染した人の死亡の割合には大きな差はないので、そのまま計算すると男性は女性の3倍もの危険性があるということになります。

 男性と女性で、何が違っているのかというと、がんの場合には免疫細胞のT細胞が直接的に攻撃をしますが、新型コロナウイルスの場合にはB細胞が作り出した抗体が攻撃をしています。この抗体を作り出す能力が男性と女性では違っています。男性ホルモンは抗体を作る能力を低下させるのに対して、女性ホルモンは抗体を作る能力を向上させます。

 がんの場合には、若い人は進行が早いとされますが、それはがん細胞が成長ホルモンによって増殖が促進されるからです。それに対して新型コロナウイルスの場合には、成長ホルモンの影響を受けるわけではなくて、高齢者のほうが死亡率が高くなっています。

 若い人は新型コロナウイルスに関してはリスクが低いと考えられてはいるものの、抗体を作り出す能力の男女差を見ると、男性は若いほど男性ホルモンの分泌が多いので、男性の場合には若いことがデメリットにもなります。それに対して女性は若いほど女性ホルモンの分泌が多くて、新型コロナウイルスには若いほどメリットがあることになります。

 新型コロナウイルスの年齢と性別の感染率と死亡率のデータは、まだ明らかにはされていないものの、数が多くなるとデータが明確になってきます。できることなら、数が爆発的に多くなって明確になってほしくはないのですが、そのタイミングが迫ってきています。

免疫についての解説一覧

免疫の低下原因は腸内環境の乱れ、低体温による冷えなんですが、一番は免疫細胞の働きの低下なんです

感染拡大から考える免疫の低下

免疫についての解説一覧

 新型コロナウイルスの感染拡大は、ウイルスの増加を抑える免疫力が低下していることが大きく影響しています。日本人は免疫力が低下していると言われるので、免疫力の低下を抑えることが重要となります。免疫低下の原因としてあげられることに腸内環境の乱れ、低体温による冷えなどもありますが、最も影響しているのは免疫細胞の働きの低下です。免疫細胞は病原菌などと戦っている免疫の本体で、白血球とリンパ球があります。

 免疫細胞は軍隊のようなもので、常に戦っていると強くなっていきます。日本は衛生的な国で、島国であることから外からの病原菌などの侵入が少なく、細菌やウイルスと戦う機会が少ないことから、どうしても免疫細胞の戦闘力が高まりにくくなっています。白血球の中のマクロファージは細菌やウイルス、がん細胞などを内部に取り込んで、その中で活性酸素を発生させて身体にとって有害なものを破壊して処理しています。ただ処理するだけでなく、サイトカインという生理活性物質を放出することによって外敵の種類、数などの情報をリンパ球に伝えています。

 リンパ球には抗体を作り出して外敵を攻撃するB細胞、直接的に攻撃するT細胞があります。マクロファージが常に戦っているとサイトカインが分泌されやすくなり、抗体が多くなり、的確に外敵を攻撃できるようになります。

初めて経験したウイルスについては、抗体が作られたとしても、まだ充分に攻撃するほどの数は作られることはないのですが、何度かウイルスに触れ合っていると抗体の攻撃力が高まっていきます。しかし、高まってくるのは同じウイルスに対抗する力であって、ウイルスが変異すると別のタイプになってしまうので、再び新たなウイルスに遭遇したのと同じこととなります。

 こういうことでは、免疫細胞の攻撃力は日本人でも欧米人でも変わりがないことになります。それなのに欧米のほうが感染力が高くなっているのは、免疫細胞の力の差というよりも、変異したウイルスの強さのせいかもしれないという考えが広まってきているのです。

免疫についての解説一覧

ウイルスの変異、人人感染だけでなく、人間からペット、ペットから人間への感染も危惧されているんです

感染拡大から考えるウイルスの変異

免疫についての解説一覧

 新型コロナウイルスが他のウイルス感染よりも恐れられているのは変異して、感染力も症状も強くなることです。もともとはコウモリのウイルスが人間に感染したものと伝えられていることから、人間から人間への感染とともに、人間からペットへ、そしてペットから人間への感染も危惧されています。それ以上に危惧されているのは、人間に感染した後の変異です。

 新型コロナウイルスは1つのタイプだと考えられていましたが、今ではS型とL型があることがわかり、感染力に大きな差があることが確認されています。S型はコウモリから検出されたウイルスと似ているタイプで、以前から存在していたもので、感染力はあまり強くないとされています。それに対してL型は感染していく中で変異をしたものと考えられ、感染力が強くなっています。L型が少ないならよいものの、その割合はS型が約3割、L型が約7割と推定されていて、感染が拡大するほどL型が増えていくと考えられています。

 タイプが異なるということは2種類のウイルスに感染することもあるということで、これが陰性と診断されたのに、後になって陽性になるということが起こる原因ということを指摘している専門家がいますが、そうではなくて実際は陽性であるのに検査によって陰性状態であることしかわからなかった結果という従来の説を主張し続けている専門家もいます。

 L型が変異をしたタイプということは、2回目の変異、3回目の変異がないとは限らないわけで、ウイルスなのに細菌と同じ変異も懸念されています。細菌は殺菌処理をすると、これに対抗するように強くなって消毒が効かなくなることがあります。これが通常の院内感染の形で、免疫力が強い医師や看護師が感染源になって患者に感染させることが多くなっています。新型コロナウイルスは医療関係者が感染して、そこから先には感染拡大しやすくなっているということを考えると、医療関係者の中で強力タイプに変異することも心配されているということです。

免疫についての解説一覧

2020年5月23日土曜日

免疫の男女差は、男性のほうが弱いんです。女性ホルモンは抗体を作り出す能力を高めるが男性ホルモンは能力を低下させてしまう

感染拡大から考える免疫力の男女差

免疫についての解説一覧

 新型コロナウイルスの陽性反応があった人は、大型クルーズ船の乗客が多かったことからデータ解析の分母にはしにくいところですが、全体的に男性のほうが多くなっていました。免疫の男女差については、以前から男性のほうが弱いと言われてきました。それを証明したかのような結果でしたが、日本人の発症数が多かったことから、日本人は免疫が弱いとも言われています。

 しかし、このことを断言できるようなことではなくて、感染したときの発症の状態が特殊すぎて、性別による感染率、発症率を語れるような状況ではありません。これまでのウイルス感染による肺炎というと、発症して発熱がある、咳が出るといった外から見てもわかるような症状があることから、その人を調べることによって陽性、陰性の区別がつけやすくなっていました。

 ところが、今回の新型コロナウイルスの新型たる特徴は、すでに広く知られているとおり、まったく症状がなくても感染して陽性となっていて、その状態で他の人に感染させてしまうことです。そのために、症状が出ていなければ受診することもなく、新型コロナウイルスに感染したことも気づかないまま過ごしてしまいます。そして、免疫が強ければ、発症しないまま過ごしてしまうこともあります。

 発症しなかったからといって、感染したウイルスが死ぬわけでも、身体の中から出ていくわけでもなくて、身体の中にウイルスは残っています。現在の免疫力によって発症が抑えられているだけで、免疫が低下してくるとウイルスの活性が始まるようになります。免疫の低下は、身体が疲れているときだけでなく、元気な状態であっても年齢を重ねていくことによって徐々に免疫力は低下していく一方となります。

 これも男性と女性では違っていて、外敵を攻撃する抗体はリンパ球のB細胞が作り出していますが、女性ホルモンは抗体を作り出す能力を高めるのに対して、男性ホルモンは抗体を作り出す能力を低下させてしまいます。

 無症状のまま拡散していく新型コロナウイルスの実態を把握することは不可能なだけに、まだまだ今の段階では実際のところの男女差を見ることはできないということです。

免疫についての解説一覧

2020年5月22日金曜日

免疫の向上はイコール免疫細胞の活性化なんです。白血球の働きを高めることが重要

感染拡大から考えるエネルギー代謝

免疫についての解説一覧

 新型コロナウイルスの感染拡大から免疫向上が改めて注目されています。高齢者は免疫力が低下していて、感染しやすく、次への感染源にもなるということで、超高齢社会に突入した日本では、長期的な対策として免疫向上が重要となります。といっても、年齢を重ねて、年々低下していく免疫力に対して、世間で言われるような免疫対策だけでは不安を感じるという人は少ないかもしれません。

 免疫は免疫細胞によって全身の細胞で行われているもので、免疫の向上はイコール免疫細胞の活性化ということになります。免疫細胞の第一防御ラインを担っているのは白血球です。全身の細胞というと、これまでは身体を構成する約60兆個とされる細胞ばかりに目が行きがちですが、白血球も細胞だという当たり前のことに着目すると、白血球の働きを高めることの重要性にも気がつくはずです。

 細胞の働きを調整しているのは、すべての細胞にある酵素です。酵素によって生化学反応を起こすことによって細胞は本来の働きをすることができます。その酵素の働きを高めるために必要なのは、細胞の中で産生されるエネルギーです。細胞の中のミトコンドリアではエネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)を取り込んで、TCA回路によってエネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)を作り出します。ATPからリンが一つ外れてADP(アデノシン二リン酸)になるときにエネルギーが発生します。

 ATPを多く作り出すためには、細胞がエネルギー源の中でも糖質のブドウ糖を取り込んで、TCA回路の中で多くのエネルギーを発生させることが重要で、白血球の中でも同じ仕組みで作り出されたエネルギーが白血球の免疫機能を強化していきます。ブドウ糖をミトコンドリアに取り込むために必要な代謝促進成分はα‐リポ酸です。TCA回路を働かせるためには酵素が必要で、その酵素は補酵素によって働きが高まります。その補酵素となるのがコエンザイムQ10です。

 α‐リポ酸とコエンザイムQ10というと、一般にはダイエット素材として知られていますが、多くのエネルギーを作り出して、全身の細胞の働きを高める働きがあります。α‐リポ酸とコエンザイムQ10は体内で合成されるものの、20歳代をピークに年齢を重ねるほど合成量は減っていきます。このことによって代謝が低下して太りやすくなり、免疫が低下していくことになるので、ダイエットだけでなく、免疫強化のために摂るべき成分だということです。

免疫についての解説一覧

新型コロナウイルス感染拡大から免疫強化が重要なんです

感染拡大から考える免疫強化の重要性

免疫についての解説一覧

 新型コロナウイルスに限らず、ウイルス性の感染症に打ち克つには免疫の強化が重要とされています。ウイルスは体内に入ると、細胞に寄生する形で棲みつきます。治療によって治ったと言われていても、実際にはウイルスが病気を発生させるほどに増えていないだけで、ウイルスは着実に生き残っています。これを抑え込んでいるのは自分の体内に備わっている免疫システムで、免疫力が低下するとウイルスの活性化が始まります。

 基礎疾患と呼ばれる高血圧症、糖尿病、心臓疾患などの全身に影響を与える疾患があると免疫が低下します。また、免疫力は40歳くらいまでは高いままキープされるものの、それ以降は低下していく一方となります。ということで、高齢者と生活習慣病がある人は免疫が低く、感染のリスクも発症のリスクも高くなるということで、超高齢社会の日本は国全体としてリスクが高いということになってしまいます。

 免疫を司っているのは、免疫細胞と呼ばれる白血球とリンパ球です。白血球は骨髄で作られ、骨髄で活性化していきます。外敵を取り込んで処理するのが白血球の役割です。リンパ球は自ら外敵を攻撃するものと、攻撃力がある抗体を作り出すものがあるのですが、白血球のマクロファージが外敵を処理すると、その情報が全身に伝わり、外敵の種類と数に応じてリンパ球が攻撃を始めるという仕組みになっています。

 免疫が低下する要因としては、身体の冷えが一つにあげられます。身体が冷えているということは、血流が低下していて、血液中を移動している免疫細胞の到着が遅れるようになります。これは消防車にたとえられていて、早く到着すれば小火(ぼや)で消化できたはずが、道路が混雑していて到着が遅れたために全焼してしまったということになるのと同じだということです。体温が1℃低下すると免疫力は30%低下して、1℃上昇すると5〜6倍(500〜600%)にもなると言われています。それだけに身体を温めることは重要ですが、そのことが腸内環境を整えて免疫が高まることについては次に紹介します。

免疫についての解説一覧

2020年5月21日木曜日

善玉菌の増加は免疫力の強化なんです。悪玉菌が増殖しないようすることが大切

善玉菌の増加と免疫力の強化

免疫についての解説一覧

 腸内で腸内細菌の善玉菌が増えると、免疫力が高まっていくことが知られています。

 腸内細菌は、胎児のときには体内にはなく、出産後に母親や周囲の環境の中から取り込まれ、腸の中に定着するようになります。そのため、腸内細菌は細菌の一種であって身体の一部ではなく、免疫細胞には異物として認識されています。腸内の善玉菌が増えると、白血球のマクロファージが善玉菌を取り込んで破壊していきます。マクロファージは善玉菌が多いと、悪玉菌よりも勢いよく取り込んでいくといわれています。

 マクロファージはサイン物質のサイトカインを放出して、抗体を作り出すB細胞や、敵を直接攻撃するT細胞といったリンパ球を活発に働かせるようにします。善玉菌は強い外敵ではないものの、善玉菌は数が多く(1000兆個の20%なら200兆個)、常に増殖を続けているため、マクロファージは戦い続け、サイトカインを出し続け、白血球とリンパ球を戦わせています。

 軍隊は、あまり戦ったことがない部隊よりも、常に戦っている部隊のほうが戦闘慣れしていることから攻撃能力が高いのは当然のことです。それと同じように、免疫細胞の白血球、リンパ球は常に活発に働いていたほうが強化されていきます。このように、善玉菌が増えることで免疫力は高まっていくことになるわけです。

 マクロファージが善玉菌を取り込むということは、善玉菌を常に増やすように心がけないと、善玉菌が減って、悪玉菌が優勢になりかねなくなります。悪玉菌によって、腸内で有害物質が多く作り出されると、それを排泄しようとして下痢が起こりやすくなります。下痢になると水分や有害物質だけでなく、腸内細菌も多く排泄されて善玉菌が減ることになります。多く排泄されると、それを補うために善玉菌も悪玉菌も増殖していくのですが、悪玉菌は善玉菌よりも増えやすくなっています。便秘の解消に下剤を使った場合も同じようなことが起こります。

 悪玉菌が増えると大腸内で有害物質が増えて、また下痢が起こるというように悪循環に陥ることにもなります。これを断ち切るためには、悪玉菌が増殖しないように善玉菌を増やすことが大切になるということです。

免疫についての解説一覧

血流促進と免疫の関係、血液中のブドウ糖と中性脂肪を適正な量にすることなんです

血流促進と免疫の関係

免疫についての解説一覧
 風邪をひくと体温が上がるのは、身体が病気と戦っている証拠だといわれます。免疫細胞は温度が高めの状態のほうが活動は活発になるため、体温を高くして病原菌などと戦いやすい環境を作り出しています。平常時には、平熱の中で免疫細胞は通常のパトロールをして、身体に害を与える病原菌などを的確に処理していますが、通常の防御体制で対処できないときには、体温を上げて免疫細胞を最大限に活動させるようにしています。

 逆に体温が低いときには、免疫細胞の活動も低下しやすくなります。身体が冷えるのは温かい血液が充分に送られていない結果で、血液の流れが悪くなっている証拠といえます。身体の端にある手足は特に血流が低下しやすいために冷えやすくなり、冷えているときには免疫も低下していることになります。

 免疫細胞は、血液中のブドウ糖や中性脂肪が適度な量のときにはスムーズに流れ、病原菌などが増殖する前に対応することができます。ところが、血管中のブドウ糖や中性脂肪が増えすぎて混雑した状態になったときには、免疫細胞が到着するまでに時間がかかり、処理にも時間がかかるようになります。

 免疫細胞の白血球とリンパ球は血液中を流れていて、血流が悪くなると必要なところに駆けつけるのが遅くなります。消防活動にたとえると、道路が渋滞していたら消防車の到着が遅れて、ボヤで消せるはずの火事が全焼にもなりかねません。それと同じようなことが起こり、がん細胞や病原菌の増殖が進んでいくことになります。血液中にブドウ糖や中性脂肪が増えすぎると血管内が混雑した状態になるので、ますます渋滞がひどくなって免疫が低下していくことになります。

 このように低下する免疫細胞の働きを高めるには、血管内の渋滞を緩和させるために、血液中のブドウ糖と中性脂肪を適正な量にするように、食べすぎを控えることが必要になってくるのです。

免疫についての解説一覧

免疫力を高める温活方法、入浴・温熱治療器がいいんですよ

免疫力を高める温活の方法

免疫についての解説一覧
 身体の冷えを改善して体調を整える“温活”は、さまざまな方法があり、効果の程度にも差があります。日本能率協会の病院関連展示会のHOSPEXの特集展示のカラダ改善プロジェクトに温活EXPOでは医学的にも有効な展示が始まるなど、温活は第二段階に入ろうとしています。

 身体を温めると血流がよくなり、免疫細胞の白血球が全身を効率的に巡るようになり、これが免疫を高めることにつながります。免疫というのは敵と味方を区別して、敵だけを攻撃・排除する機構を指しています。その攻撃と排除に働いているのが免疫細胞です。

 体温が1℃下がると免疫は37%も低下すると言われています。メディカルダイエット的にいうと、体温が1℃下がるとエネルギー代謝は12%も低下するとの研究成果もあります。では、体温が1℃上がると、同じ割合だけ免疫が上昇するのかというと、そんな程度ではありません。研究者によって異なるのですが、5?6倍にも高まるというのが一般に広まっています。この場合の1℃というのは身体が冷える人のプラス1℃のことではなくて、通常の体温に対してのプラス1℃なので、冷えている人は、かなり体温を高くしないといけないことになります。

 体温を高める方法というと歩くことと入浴がよくあげられます。実際に体温を高めるために入浴しようとすると、42℃のお湯に10分も入っていなければなりません。42℃の入浴では自律神経の交感神経の働きが盛んになっているので、体温上昇はしばらく続いているものの、徐々に下がっていきます。

 こういったことに比べると、温熱治療器を用いた高温熱刺激は、免疫細胞の中でもがんや腫瘍に対抗するキラーT細胞の数を増やすことが確認されています。キラーT細胞が増えれば、それでよいというわけではなく免疫の司令塔であるヘルパーT細胞のバランスも重要になります。

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免疫対策にはウォーキングが最適。特に体温が低めの人にはおすすめです

免疫対策のウォーキング

免疫についての解説一覧
 身体を外敵から守る免疫細胞は、酸素を多く取り込むことで活性化します。免疫細胞も全身の細胞の一部であり、その中にはエネルギー産生を行うミトコンドリアがあります。ミトコンドリアは酸素を使ってエネルギーを作り出しています。そのため有酸素運動のウォーキングは全身の免疫を向上させる運動といえます。有酸素運動によって活性化するのはリンパ球ですが、中でも特に活性化するのはナチュラルキラー(NK)細胞です。

 ナチュラルキラー細胞は激しい運動や2時間以上の長時間の運動をすると活性が低下するため、ウォーキングは2時間以内にすることがすすめられます。長く続けたいときには、一度休んでから再びウォーキングをするようにします。免疫細胞は、温度が高めの状態のほうが活動は活発になります。ウォーキングは全身の血流を盛んにするので、免疫を高めることができます。体温が低めの人には特にウォーキングがすすめられています。

 腸内細菌の善玉菌が増えると免疫が高まりやすくなります。善玉菌は腸内が温まっていることで増えていくため、腸に温かな血液が多く送られる有酸素運動のウォーキングは、善玉菌を増やして免疫を高めるためには有効といえます。

 緊張をすると免疫は低下しやすく、リラックスすると免疫は高まっていきます。ウォーキングは、ただ歩くのではなく、景色や気候を楽しみながら、家族や友達などと楽しみながら歩くことは免疫強化のためにもよいことです。歩くことは健康によいからと、義務のように歩くのは精神的なストレスにもつながるので、できるだけ楽しみながら歩くようにしたいものです。


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男性は50歳で免疫力は半分になるんです。加齢による免疫の低下は仕方がないが。。。

男性の免疫低下をなんとかしたい

免疫についての解説一覧
 免疫は病原菌などの戦う抵抗力を指すと一般に説明されています。正確には「敵と味方を判別して、敵だけを攻撃する力」を指しています。敵と味方の判別ができないと味方を攻撃してしまうことになります。アレルギーは免疫が外敵でもないものを攻撃するから起こるものということができるかもしれませんが、免疫を高めるためには免疫を司る免疫細胞の働きよりも、ひょっとしたら敵味方を判別する中枢神経の働きのほうが重要となるかもしれません。

 免疫は20歳前後をピークにして徐々に低下していき、50歳には免疫力は半分ほどにもなると言われています。では、年齢を重ねると免疫の低下は仕方がないのかというと、男性と女性では免疫力の低下の度合いが違っていて、女性のほうが免疫力は高くなっています。免疫にはストレスが大きく影響していて、女性は右脳と左脳をつなぐ脳梁が太いので右脳と左脳をバランスよく使ってストレスに打ち勝つことができるのに対して、男性の脳梁は女性の半分ほどの太さしかないのでストレスを解消しにくくなっているからです。

 男性は彼による免疫低下を抑えることはできないのかというと、飲酒は有効活用すると免疫強化が可能です。日本酒に換算して1合の飲酒量では免疫は高まるのですが、2合を超えると免疫力は元の状態に戻り、3合を超えると免疫力はスタート時点よりも低下します。ホロ酔い程度で止めておける人は免疫を強化できるということです。

 免疫細胞は一定の温度の環境で活動が高まるので、体温が低めの人は免疫が低下します。体温は血液の温度に影響を受けていますが、体温が低い人は血液の温度が低いわけではありません。血液温度は37℃ほどで、この暖かい血液が次々に送られてくると放熱による体温低下を抑えて、体温が低くならないようにすることができます。つまり、体温の低下を防ぐには、血流をよくすることが必要だということです。

 血流をよくするためには、運動する機会を増やすのが一番です。運動をすると吸い込む酸素の量が増えて、細胞の中でブドウ糖と脂肪酸を材料にして代謝を盛んにすることができます。

免疫についての解説一覧

免疫の分岐点は70歳なんです。人生の締めくくりを幸せとできるかどうか

70歳は免疫の分岐点

免疫についての解説一覧
 70歳という年齢は健康について考えるときのターニングポイントです。男性は平均寿命が80歳を超えましたが、平均寿命まで、あと10年ということになり、この10年間を如何に過ごすかというのが人生の締めくくりを幸せとできるのか、それとも不幸と感じながら最期に向かうのかの大事な分かれ目になります。幸せな10年間のためには、入院することもなく、介護を受けることもなく自由に暮らしたいものですが、実際には健康寿命は男性では平均寿命よりも9年間も短くなっています。女性は12年間ですが、これは平均寿命が長いことと関係しています。

 男性を例に話を進めますが、健康寿命と平均寿命の差の9年間は寝たきりまではいかなくても家の近くしか出歩けない、他人の助けがないと好きなことができないという状況になります。そのために、この期間は生活や趣味などのための消費が極端に減り、その分が医療や介護に使われます。その証拠の一つとしてあげられるのが生涯医療費です。生涯医療費は2600万円(男女平均)となっています。これは本人が医療費として医療機関に支払う金額ではなく、医療機関が受け取る金額で、国や自治体などが支払う分も含まれています。その2600万円の半分が70歳以降に使われているのです。平均寿命までの10年間だとすると年間130万円もかかっていることになります。

 なぜ、こんなにも医療費がかかるのかというと、免疫の低下が大きく影響しています。免疫は病原菌やがんなどの外敵と闘う力とされています。実際には敵と味方を区別して、敵だけを攻撃する能力を指していますが、免疫が低下するとがんにも細菌にも侵されやすくなります。免疫のピークは20歳代で、これをすぎると年々低下していきます。40歳には免疫は半分になり、70歳になると10分の1にも低下すると考えられています。10分の1になるということは、がんなどになる可能性は10倍になるということになります。

 人間の身体には約60兆個の細胞があるとされていますが、1日のうちに新たにできる細胞は約1兆個です。1日に6分の1もの細胞が入れ替わっているわけです。この入れ替わりは、古い細胞が壊れ、新しい細胞が分裂してできています。いわばコピーのようなもので、1兆個もコピーされるとコピーミスも起こります。このコピーミスががん化で、約5000個のがん細胞が毎日できています。1兆と比べると2億分の1の数ですが、がん細胞は一気に増殖する特徴があります。

 細胞は誕生から20年かけて60兆個に増えていきます。一気に増殖するときには倍々に分裂して増えていきますが、一定量に達すると分裂するたびに1個の細胞が増える1枚ずつコピーの状態になります。こういった増え方をするように規制がかかっているのですが、がん細胞は規制がかかっていないので、倍々に増えていきます。そのため、がんは一気に増殖をしていくのです。

 免疫は免疫細胞と呼ばれる白血球、リンパ球が担っています。この免疫細胞が正常に働いていればよいのですが、免疫細胞も老化していきます。老化といっても細胞なので新たに誕生しています。それなのに老化するのは、細胞を働かせるためのエネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)を作り出すために必要な三大ヒトケミカルのα‐リポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10が加齢に伴って減っていくからです。この三大ヒトケミカルの減少の曲線は免疫低下の曲線と似たような形を描いています。そのために、三大ヒトケミカルの減少が免疫を低下させると考えられているわけです。

 三大ヒトケミカルは体内で合成される成分ですが、医薬品だけでなく食品として摂ることも許可されているので、サプリメントとして摂取することができます。

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2020年5月20日水曜日

日本人の免疫が低い理由は、欧米人に比べて日本人の血液の温度が1℃ほど低いからなんです

日本人の免疫が低い理由を考える

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 血液の温度が低いことは免疫にも大きな影響を与えます。「体温が1℃下がると免疫が30%低下する」という話が広まり、医科学の専門家にも支持者が広がっています。体温は血液の温度に左右されています。体温が1℃低ければ、という話は、そのまま血液の温度が1℃低いということにつながります。日本人の血液の温度は約38℃で、それよりも1℃ほど高い欧米人と比べたら、免疫が30%低いことになるということです。

 免疫細胞は血液の温度が高いほうが活発に働くことになるので、日本人は免疫が低いことになります。血液の温度が高ければ、動物の脂肪は溶けやすくなり、血流もよくなります。動物の血液の温度は40℃以上もあります。体温が高い羊の血液の温度は44℃にもなっています。この温度が高い血液の中で溶けている脂肪は低い血液の中では固まりやすくなります。いわゆる“ドロドロ”状態になるわけですが、そのために流れが悪くなり、免疫細胞が早く働きにくくなります。この関係を消防車にたとえると、消防車は空いている道路なら火災現場に素早く駆けつけて消火することができるのに対して、渋滞していると時間がかかり、大火事になってしまうことになります。

 それと同じように、血流が悪くなると。免疫細胞が充分に働けなくなり、がん細胞や病原菌などに侵されないようになるというわけです。

 血流が悪いと腸の温度も低くなります。腸内細菌の善玉菌は腸内の温度が高くなるほど増殖しやすくなり、活動も盛んになります。善玉菌が増えると腸管免疫と呼ばれる腸壁にあるパイエル板の反応がよくなって、免疫細胞である白血球やリンパ球の活性が高まっていきます。血液の温度が低くて、腸内の温度も低い日本人は複数の理由が重なることによって免疫が低くなっているのです。

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スポーツ選手の免疫が下がるのは、コエンザイムQ10が減少、白血球で作出されるエネルギーが減るからなんです

なぜスポーツ選手は免疫が下がるのか

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 運動は健康によいというイメージがあり、スポーツ選手は健康体と思われがちです。しかし、スポーツ選手も体育教師も実は平均寿命が短いことがわかっています。運動は体内で活性酸素が多く発生して細胞を傷つけていくことから、活性酸素の消去が「運動=健康」のカギと言われました。そして、抗酸化成分の摂取がスポーツ選手には必須ということが広まっていきました。

 抗酸化成分としてスポーツ選手によく使われているものにコエンザイムQ10があります。コエンザイムQ10は細胞のミトコンドリアの中でエネルギー産生をする代謝に必要なヒトケミカルの一つで、以前は医薬品であったものが食品としても使用することが許可され、コエンザイムQ10はサプリメントの人気素材となりました。しかし、コエンザイムQ10は代謝では抗疲労が注目されて機能性表示食品にもなり、抗酸化成分としても使われています。

 免疫とコエンザイムQ10の関係がわかるようになって、コエンザイムQ10の不足は免疫を低下させるだけでなく、運動することによって免疫が低下する可能性が高いこともわかってきました。コエンザイムQ10は20歳代をピークに徐々に体内で合成される量が低下して、蓄積量も減っていきます。その状態で運動をすると筋肉を動かすことによってコエンザイムQ10は減少していきます。

 免疫細胞の白血球もコエンザイムQ10を用いてエネルギー産生を行っているので、コエンザイムQ10が減少したら白血球で作り出されるエネルギーが減ることになり、白血球が担っている免疫も低下していくことになります。だから、運動をするときにはコエンザイムQ10を補うべきであり、筋肉を激しく使うスポーツ選手は多くの量を必要とするわけです。

免疫についての解説一覧

ウォーキングで免疫が高まる理由は、血流が促進されて免疫細胞がスムーズに流れるからなんです

ウォーキングが免疫で高まる理由

免疫についての解説一覧
 ウォーキングの効果がメディアに取り上げられる機会が増え、その効果として血流促進や心肺機能の向上、ダイエット効果、検査数値(血圧、血糖値、中性脂肪値、LDLコレステロール値)の改善などが紹介されています。番組の企画としては、他に魅力的な効果を伝えたいということで相談を受けていますが、今は免疫の向上の話をしています。

 免疫を向上させる理由は複数ありますが、今回、仕組みとして話したのは血流の促進による免疫細胞のスムーズな流れです。免疫細胞の白血球とリンパ球は血液の中を流れています。流れがよければ、もしも病原菌などの闘うべきものがあったときには、そこにいち早く駆けつけて、対処することができます。

 消防車にたとえると、火事が起こったときに、すぐに駆けつけられれば小火(ボヤ)の段階で消火することができます。ところが、道が混雑していると渋滞に巻き込まれて、サイレンを鳴らしていても到着に時間がかかって全焼してしまうかもしれません。

 渋滞の原因は血液中に多くなりすぎたブドウ糖と中性脂肪です。ということは、ブドウ糖と中性脂肪が適度な量であれば血流の低下を防ぐことができるわけです。さらに運動によって血流がよくなれば免疫が高められるわけですが、有酸素運動は酸素を用いて細胞のミトコンドリアの中でブドウ糖と脂肪酸を燃焼させてエネルギーを作り出しているので、血液中のブドウ糖と中性脂肪を抑制することができます。だから、有酸素運動の代表のウォーキングをすすめているわけです。

免疫についての解説一覧

乳酸菌で腸内環境を整えてることが免疫力アップになるんです。日本には味噌、醤油、醸造酢、味醂、納豆、鰹節、塩辛、くさや、なれずし

日本特有の乳酸菌で腸内環境を整えて免疫増強

免疫についての解説一覧
 世界の長寿地域のコーカサス地方にはカスピ海ヨーグルトのほかにケフィアという発酵乳も食べられています。他のヨーグルトは1~2種類の乳酸菌によって発酵しているのに対して、ヨーグルトきのことも呼ばれるケフィアは、数十種類の乳酸菌や酵母菌による複合型の発酵乳で、やはり組み合わせが大きな力となっています。

 長寿地域に特徴的な食べ物があると、それが長寿に役立っていると結びつけがちですが、結論的には乳酸菌は、腸内細菌の善玉菌の役割をするとともに、もともと腸内に棲んでいる発酵を進める善玉菌を増やす働きもあります。善玉菌は、腸内が酸性傾向になったときに増殖しやすい性質があるため、乳酸菌が多くなると、善玉菌が増えていきます。腸内細菌の数は300兆個ほどといいますが、善玉菌が増えると悪玉菌が減っていくので、腸内の状態がよくなっていきます。

 腸内細菌のバランスがよいと、整腸作用だけでなく、免疫増強や発がん抑制などの効果もあることから、もともと日本人が食べていなかった乳酸菌を摂ることでも、日本人の腸で有効であれば健康長寿の手助けになります。

 腸内細菌は100種類以上あり、その量のバランスは国民によって異なっています。その量のバランスに影響を与えてきたのは、歴史的な食生活です。日本人の食事の変化は戦後の60年で1000年分にも相当するといいます。それほどの大きな変化であっても、日本人の腸内に棲みついてきた善玉菌と悪玉菌の割合は、大きく変わることはありません。

 有益であることが認められている新たな乳酸菌を摂ることは効果があることではあっても、日本人が伝統的に摂ってきた乳酸菌を補うことも忘れてはいけません。最近ではラブレ菌という京野菜のすぐき菜(蕪の一種)を材料にして作られる、すぐき漬けから分離された植物性乳酸菌が有名になっています。ラブレ菌は免疫増強が期待されており、乳飲料で手軽に摂ることができるようになりましたが、漬物には、このほかにも数多くの乳酸菌が含まれている複合型の乳酸菌食品といえます。

 日本には、味噌、醤油、醸造酢、味醂、納豆、鰹節、塩辛、くさや、なれずしといった発酵食品があり、これらにも特有の乳酸菌が含まれています。日本人は、これらの複数の乳酸菌を数多く摂ってきた歴史があり、それが腸内細菌の善玉菌を増やしてきただけに、肉食や脂肪が多い食生活で悪玉菌が増えやすい状態にある人は、伝統的な食品を見直すことも健康長寿を目指すためには大切なことです。

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免疫力を高める方法はあるんです。腹八分目、適度の飲酒、入浴、有酸素運動、そして笑うこと

免疫力を高める方法

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 食事の食べすぎは免疫を低下させます。動物実験では、腹八分目の食事量に抑えたマウスは免疫が高まり、長生きすることが確認されています。

 栄養バランスは免疫を高めるためには大切です。ビタミンとミネラルは1日に必要な量が足りていると、体の機能は充分に働くことができるものの、不足しているものがあると、不足した低いレベルでしか機能が働くことができなくなります。免疫も同じことがいえます。

 ストレスは免疫を弱めてしまいますが、適度の飲酒はストレスの解消になり、免疫も高めてくれます。日本酒に換算して1合程度、ビールなら大ビン1本程度の飲酒なら免疫は高まります。しかし、2合ほど飲むと通常の状態の免疫力に戻り、3合以上では逆に免疫力が低下していきます。

 同じ嗜好品でもタバコは免疫を下げるだけで、高めることはありません。

 ウォーキングなどの適度な有酸素運動は血流をよくして、免疫を高めます。しかし、体に負担がかかるような運動は逆に免疫を低下させます。

 入浴はストレス解消と血流をよくすることで免疫を高めます。特に高まるのは自律神経の副交感神経の働きを盛んにして心身ともにリラックスさせる38℃前後の温度での入浴です。

 免疫は体温が高めの人のほうが活性化しやすくなっています。血液の流れがよくないために体が冷えやすい人は、免疫が低下しているということです。風邪をひくと体温が上昇するのは、免疫細胞の働きを活発にするためです。

 ぐっすりと熟睡すると免疫は高まりやすくなります。睡眠が浅くて、寝ても疲れが取れにくい人は免疫低下の心配があります。

 笑うことでも免疫は高まります。心から笑ったときだけでなく、無理に笑ったときにも免疫は高まります。その度合いは心から笑ったときの半分ほどだといいますが、笑うことで免疫が高まるだけでなく、血糖値も下がるという実験結果も発表されています。

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腸の中には免疫のセンターがあるんです。だから腸内環境が大切

腸の中に免疫のセンターがある

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 リンパ球のT細胞の中には、攻撃力が強いキラーT細胞やナチュラルキラー細胞がありますが、T細胞は骨髄の中で生まれて、胸腺で成長していきます。胸腺の機能は40歳ころから低下していくため、このころから免疫は低下していきます。

 その代わりに、免疫のセンターは胸腺から腸管に移動していきます。

 腸管には無数の繊毛という突起があり、その表面積はテニスコートの1面分にも及ぶほどの広さがあります。食物と異物が混入して入ってくる腸管では、栄養成分と異物を識別されています。

 一つひとつの繊毛にはリンパ管が通っていて、この中に白血球やリンパ球が常に活躍しています。腸管の粘膜上にはリンパ管とつながっているパイエル板と呼ばれる白血球やリンパ球が集まっているところがあり、異物が入ってくるとパイエル板のマクロファージが働き、異物の情報を伝えます、そのことによって全身の免疫が高まっていきます。

 腸内には1000兆個もの善玉菌と悪玉菌が棲みついているとされますが、悪玉菌が増えると腐敗が進み、便が黒く、硬くなり、便通が悪くなります。そのために腸管に汚れが残るようになり、腸管免疫が腸内の異物と触れにくくなり、その結果、免疫が働きにくくなります。

 また、悪玉菌は腸内の腐敗を進めることによって毒素(有害物質)が発生しますが、この毒度は腸壁から血液中に入ります。この毒素を処理するために免疫細胞が働く分だけ、他の免疫への対応が遅れ、全体的に免疫力が低下することになります。

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残念なことに男性は女性よりも免疫力が弱いんです

男性は女性よりも免疫力が弱い

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 体を病原菌などから守っている免疫は、免疫細胞のT細胞とB細胞が軍隊のように戦うことで保たれていますが、免疫の強さは、免疫細胞の数と活動によって決まるものではありません。

 男性と女性を比べると、がんで亡くなる人の数は男性では女性の1.5倍ほどになっています。それだけ男性は弱いということですが、一つにはホルモンが関係しています。女性ホルモンはリンパ球のB細胞が抗体を作る力を高めるのに対して、男性ホルモンは逆に抗体を作る力を弱めてしまいます。抗体は病原菌などを直接、攻撃していくものです。

 男性はストレスに弱いことが指摘されていますが、精神的なストレスが高まると病原菌などを察知するレーダーの能力が落ちて、免疫細胞の働きも低下していきます。男性はストレスがかかる場面にいることが多いうえに、そもそもストレスに弱い脳となっています。

 脳は創造的な働きをする右脳と機械的な働きを得意とする左脳に分けられます。右脳と左脳は脳梁というブリッジで結ばれていますが、女性の脳梁の太さは男性の2倍もあって、左右の脳をバランスよく使うことができるために、ストレスがたまりにくくなっているのです。

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免疫は体を守る軍隊みたいなものなんです(専守防衛)

免疫は体を守る軍隊だ

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 免疫は軍隊にたとえられますが、どんなに強い軍隊であっても外敵と味方の区別ができないのでは、的確に外敵だけを攻撃することはできません。そこで免疫を有効に働かせて外敵と戦うためには、まずはレーダーに当たる外敵と味方を識別する能力が必要になります。このレーダーの役目をしているのは、自律神経やホルモン調整などを行っている中枢神経です。

 実際に免疫を司っているのは免疫細胞と呼ばれる白血球とリンパ球です。白血球もリンパ球も血液中や細胞の周りなど全身をパトロールしていて、外敵を発見したら、そこに集まって処理を始めます。

 白血球は好中球とマクロファージに大きく分けられます。好中球は小さな白血球で、病原菌や有害物質などを食べるようにして内部に取り込んで分解・処理していきます。一つひとつは小さくて、処理できる量も限られているものの、非常に数が多く、数の力で対応しています。好中球は軍隊でいえば軽装備しか持っていない歩兵に相当します。

 マクロファージは大きな白血球で、数多くの外敵を貪食します。貪食とは、盛んに内部に取り込んで処理することをいいます。戦車のように大量の外敵と戦えるわけですが、好中球が単純に外敵を食べて処理するだけなのに対して、マクロファージは、どんな種類の外敵を、どれくらい処理したのかというサインに当たる物質(サイトカイン)を外に出します。このサインを受けて、次により強い軍隊に当たるリンパ球が働き出します。

 リンパ球にはB細胞とT細胞とがあります。B細胞は骨髄で増殖するもので、外敵に合わせた抗体を作り出して外敵と戦います。抗体は1種類の外敵にだけ有効なもので、その抗体を作る情報はB細胞の中に組み込まれています。つまり、未知の外敵に対してB細胞は、あらかじめ未知の情報を膨大に準備していることになります。

 T細胞は骨髄で作られたあと、胸腺で育って能力を高めていきます。T細胞には、その役目によってヘルパーT細胞、キラーT細胞、サプレッサーT細胞、ナチュラルキラー細胞という4つの種類があります。

 ヘルパーT細胞は、B細胞が抗体を作り出すのを助けます。キラーT細胞は、外敵を直接的に攻撃するミサイルのようなものです。キラー細胞は働きすぎて外敵だけでなく味方である自分の体の細胞を傷つけることがありますが、働きすぎを抑えて免疫作用を調整するのがサプレッサーT細胞の役割です。そして、ナチュラルキラー細胞は腫瘍を主に攻撃して破壊します。

 T細胞は胸腺で育っていきますが、胸腺は15歳まで成長し、それ以降は退縮していき、40歳を過ぎると機能が失われていきます。40歳を過ぎると免疫が低下し続けるのは、胸腺の機能が低下して、T細胞の働きが低下することに関係しているのです。

 免疫は、このようにレーダーによって外敵の種類を判断したあとは、外敵に合わせて免疫細胞が組み合わされて働き、最も効果的に外敵を攻撃、破壊するような仕組みになっています。

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